Pave the Way

自分らしくキャリア選択をするための情報をゆるっと発信していきます

エージェント面談であるあるな相談を元に物語形式でキャリアの考え方を発信しています
こんな考え方もあるんだな、と参考程度に楽しんで読んでもらえたら嬉しいです
初めて読む方は はじめにを読んでください


やりたいことがない人のキャリア戦略②

ポイント:苦なくできることを基準に選ぶ


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「おはようございますーたいら先輩―…」
「おはよう。朝から悲痛な声…どうしたの?」

たいら先輩が出社するとれいちゃんは暗い声でたいら先輩に早々に声掛けた。
聞いてくださいよー、と悲しそうなれいちゃん。
たいら先輩は自席の引き出しからノートパソコンを取り出しながられいちゃんの方を向いてた。

れいちゃんの話はこうだ。
前回れいちゃんがたいら先輩に相談していたやりたいことがない人に
“伸びている業界を選ぶこと”の話をしたが、ピンとこなかったらしい。
そのためいまだに応募企業の軸が定まらず、
なんとなく気になった企業を2,3つ受けては面接でなぜ深く質問された時に答えられず、
落ちることを繰り返していて転職活動が滞っているとのこと。
何かしら打開策を打ちたいものも頭をどれだけ捻っても思いつかず、
朝かられいちゃんはたいら先輩に泣きついた。

「やりたいことなくて、伸びている業界もピンとこない場合、どうしたらいいんですかね?」

たいら先輩はノートパソコンを起動させながら、
「人によっては伸びている業界を選ぶと大きくキャリアチェンジすることになりかねないこともあって、
 決心がつかなかったり、業務イメージが湧かない場合はその選択をしないことは多々あるのよね」
彼はそのタイプなのかもねーと独り言のように呟きながら言葉を続ける。


「その場合は自分が苦なくできることを基準に仕事選びをするっていう
 アドバイスをするといいんじゃないかな」


「苦なくできること…? ただ単にできることじゃなくて?」
「そう、“苦なく”という点がポイント。
 ただできるだけの軸だとモチベーションが長続きしなくなる可能性が高いから。
 だから意識しなくてもできちゃうようなことを意識的に選んでキャリア選択するのがいいと思うわ」

れいちゃんはうーん、と少し悩んで、
「例えば、私は法人営業時代はプレゼン資料の作成がわかりやすいって
 褒められること多くてできることだったけど、
 作るのに悪戦苦闘していて辛かったから
 そういう業務比重が大きい仕事は選ばないってこと、ですかね?」
「そうそう、そんな感じ」
「で、逆にお客さんと話をするのはすごく好きだし、それだけなら何時間でも話せちゃう。
 だからお客さんとの折衝がある仕事を選ぶ、ってことですかね?」

大正解、とでも言わんばかりの笑みを浮かべてたいら先輩は頷いた。
「大雑把に理解するとそんな感じね。
 れいちゃんの場合はお客さんと折衝メインなら営業か販売軸で、
 その中で何の商材だったら興味持ってお客さんにおすすめできるかな?とか
 新規と既存の営業スタイルどっちの方が苦なくやれるかなって徐々に絞っていくといいと思うわ」
なるほどなーとれいちゃんは納得する。
たいら先輩はパソコンにパスワードを打ち込みながら続ける。
「特にやりたいことない人はきるからって理由でそのキャリアを選ぶこともあるけど、
 続ければ続けるほどその延長上のキャリアしか選べなくなりがちなの。
 だから30歳過ぎてから実は長年やっていたけど苦痛でしたって
 大きなキャリアチェンジを望む人も多いのよね。
 そうならないように色々選べる若いうちに安易に選択するのはおすすめしないの」
30歳以降で生半可な気持ちでのキャリアチェンジはおすすめできないからね、と。

「だから苦なくできることを選ぶ…」

れいちゃんは自分の胸に刻むように言葉を落とした。
たいら先輩は大丈夫?とれいちゃんに言葉を投げかけ、れいちゃんが大きく頷いたのを見て、
前日の夜に届いていた大量のメールや応募履歴を確認、対応すべく自分のパソコンに向き直った。