Pave the Way

自分らしくキャリア選択をするための情報をゆるっと発信していきます

エージェント面談であるあるな相談を元に物語形式でキャリアの考え方を発信しています
こんな考え方もあるんだな、と参考程度に楽しんで読んでもらえたら嬉しいです
初めて読む方は はじめにを読んでください


やりたいことがない人のキャリア戦略①

ポイント:伸びている業界を選ぶ

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「たいら先輩、たいら先輩ーー!」
「何?どうしたの?」

ここはとある人材エージェント。
ここで新卒で入社して一生懸命働くれいちゃんが法人営業(RA)からキャリアアドバイザー(CA)に配属されたのは1ヶ月前。
もともと人の役に立ちたい、と思ってエージェントに入社したれいちゃんなので、
キャリアアドバイザー業務は持ち前の明るさを駆使しながら非常にやりがいを持って取り組んでいる。
だけれど、まだまだ社会人歴が浅く相談者の悩みに上手く答えられないことも多い日々。
そのためれいちゃんは悩んだらすぐに自身の教育係であるたいら先輩に相談する。
日常になりつつあるその光景を周囲は微笑ましく見守っている。


「さっきの面談で面談者の人と一緒にぐるぐる悩んじゃって…」
面談から戻ってきたれいちゃんは隣の席のたいら先輩に声を掛ける。
たいら先輩はパソコン画面から目を離して、れいちゃんの方を向き、
「…どんな面談だったの?」
と問いた。
れいちゃんは眉間に皺を寄せ小難しい顔をして、話し始めた。

「私と同じ社会人2年目だったんですけど、
 とにかく今の仕事がつまらないしやりたくなくて転職したくて来てくれたんですよね。
 ただ、じゃあ転職先では何やりたいですかね?って話をしていたんですが何も出てこなくて。
 やりがいってなんだろう、やりたいことってなんだろうって一緒にぐるぐる悩んじゃって…」
たいら先輩はそっかーと相槌を打ちながら、
「その人、なんで新卒の時にその会社に入社したの?」
と聞く。れいちゃんは目線を少し泳がせて記憶を遡る。
「んーと…就活はとりあえず有名大手どころから受けて、最初に内定出たところで決めたって言ってました。
 特にこれがしたい、とかなかったらしいんですよね」
「なるほど…」
「新卒就活失敗だったーって。もっとちゃんと考えればよかったーって。
 今の仕事やりたくないし、このままこの会社にいてもスキル身についているのかわからなくて不安だし、って。
 でもじゃあなにしたらいいかって言われるとやりたいことないーって」
「その状況だと、今の会社に残るって選択肢はなさそうね」
「そうなんですよー」
と、れいちゃんは深く頷く。


仕事内容が好きじゃない。
キャリアとしての先も見えない。
特に今の仕事にやりがいも感じていない。
そんな状態で消極的な選択で現職残り続けてもプラス要素は何もない。

だから、絶対転職はした方がいいのだけど、
肝心の何がしたいかがない。


いろんな選択肢の提示はできるけど、
何がおすすめのキャリアになるのかわからず
れいちゃんは面談者とぐるぐる悩んでしまった。

れいちゃんの話を一通り聞いたたいら先輩は、



「そういう場合は、やりたいことを軸に仕事選びしなくていいのよ」



と、ポツリ。れいちゃんはへ…?と変な顔をして首を傾げる。

やりたいことなんてあったほうがいいし
それを元に仕事決めた方がやりがいにもなるし
なくていいなんてどういうことだろう…
と、たいら先輩の発言の意図がれいちゃんはわからなかった。


「やりたいことが今の時点でないならないでいいの。
 ないのに無理に作ってそれを軸として仕事選びしても
 本当にやりたいことじゃないから志望理由が話せなくて転職活動難航することもあるし、
 仮に入社できてもまたすぐにやりたいことと違うって言って長続きしないことが多いの」


「そしたらどうやって選べば…?」
れいちゃんは混乱してきた頭をフル回転してたいら先輩に尋ねる。
そうねー、とたいら先輩は一息ついて答える。

「いくつか考え方はあるけど、
 そのケースの場合、私がおすすめする考え方としては“伸びている業界を選ぶこと”」
「伸びている業界?」
「そう、伸びている業界。今だとITとか医療とか人材とかね。
 やりたいことがなくてまだ若い場合はまずは自分のできることを増やすことにフォーカスを当てるの。
 できることが増えた段階で改めてやりたいこと考えればいいのよ。

 5年、10年で社会が目まぐるしく変化する現代で
 人生100年時代と言われているような時代に
 20代前半で一生かけてやりたいことを今、決めなくていいのよ


たいら先輩が言葉を続ける。
「現時点でやりたいことがない人にとって重要なのはやりたいことに巡り会えた時にそこにリーチできるだけの経験を積んでおくこと。
 その中でも伸びている業界での経験を積むことはやりたいことにリーチできる選択肢が広がるの。
 なぜなら伸びている業界の経験は今後市場から求められるスキルが身につきやすいから」

例えば、と口元に手を当てて、

「弊社みたいな人材業界も伸びている業界よね。
 エージェントでの営業をしていると採用関連の知見が身につくでしょ。
 社会変化としては終身雇用が崩壊したのをきっかけに採用のニーズが非常に増えた。
 だから今までは人事の中でも採用専門の人材をおいてなかったところも採用の専門人材を置く必要が出てくる。
 そうなると、人材エージェントの営業経験でいろんな業界の人事へのキャリアチェンジができる…
 みたいな感じで同業他社以外のキャリアチェンジもできる選択肢が出てくるのよ」


だから私はやりたいことないなら伸びている業界に行くことをおすすめしているわ、とたいら先輩は言葉を結んだ。

れいちゃんは自分に今までない視点だったのでそういう考え方もあるのかーと自分なりに一生懸命、咀嚼をしようとする。
そして一定頭の中で内容をまとめて今後面談者にその話をしてみます、ありがとうございます!と少し晴れやかな表情でたいら先輩にお礼を言った。